分裂・離散吸収、規模の維持、指導者の交代

 [SF設定] ハールのヴァルム・アモ侵入①

 カラザド宙域にヴァルム・アモと呼ばれる地域が存在する。カラザド星団のほぼ全域を含む地理学上の区分であり、この恒星密集域にはSクラスの惑星が極端に少なく、それ故に幾多もの放浪民族が少ない資源を巡って激しい抗争を繰り返している。
 アモでは多様な部族・氏族が活動しているが、彼らにはいくつかの共通点がみられる。金髪・碧眼、高い身長、筋肉質な体格。エプシュリキ語を起源とする言語。こうした要素をもつ部族数は実に全体の七割を超える。その中でメルハール人の容姿・文化は一際目立つ。黒髪、黒または灰色の瞳、(アモの平均と比較して)低い身長、細身の体。そして、シュロアー語族スラツァ語を起源とするハーリ語。こうした特徴を第五惑星の人口の82%が共有している(大陸北東部に住むガラム人を除けば、その比率は97%に達する)。
 こうした身体的・言語的な違いから、メルハール人がアモの外にルーツをもつ民族であることは一目でわかる。彼女たちは、メオーテ系を越えたはるか向こう、アルバイルα系のパルゴー星団からやって来た渡来人なのである。
 

分裂、離散吸収あるいは規模の維持

 ISC四二〇〇年代、パルゴー星団のケリカ周辺の国々(ロギ、エフタク、ルズ、ウロ・シタス・・・)の史料において、ほぼ同時期に、ササリ、あるいはサーサリと名乗る集団が現れたという記述がある。集団の規模は数百人から数万人と幅がある。諸国の地に平和的に定住したササリ人がいる一方、小さな軌道都市などを軍事的に制圧した集団もあったようだ。現代ではその大部分が諸国の民と同化し、ササリとして民族意識を保つ集団はわずかしか残っていない。
 ササリはケリカ系第二惑星ペスタイにあった小国の一つであり、戦乱によって国土を失い、流浪の民となったようだ。ササリの集団は、初期段階で大きく二つに分かれた。その一方は、さらに細かな集団に離散し、アルバイルα系の諸国の中に吸収されたといえる。しかし、もう一方の集団はその規模を維持しながら、大挙してカラザドのヴァルム・アモへと侵入する。
 

指導者の交代

 最初のヤークト方面からの侵入は、モズの部族連合の激しい抵抗にあって失敗する。船団はかろうじてアモの外(おそらくカラヤ系あたりと推測されているがはっきりしない)へ逃れるが、損害は甚だしく、この失策によって指導者であったルナンド家のシャイはその地位を追われ、以降は武門のシュガングラヤ一族が実権を握っている。
 

分離独立

 ササリはパニ系からの再侵入を試み、略奪や貿易によって勢力基盤を築き上げた。四四〇〇年代初頭には、パニ、ダロ・ベサゴ、ベデ・ケラカスという三つの主系列星系と、ブラックホール系コヴァを支配下に置いている。領有する都市は七〇にも及んだ。四四二七年には、ダロ・ベサゴ軌道上に首都ヒスタルが建設された。だが、領土の拡大は多方面からの外敵の侵入を招き、国内でも分離独立の兆しが見え始める。四四五八年、パニ系の都市コ・ケルハズの総督であるラスタル家のメレリーは、ヤモルタリクの王レン・クリナと連合し、「コ・ケルハズの乱」を引き起こす。彼女はヒスタルを二度攻めるが、二回目の侵攻中、ダロ・ベサゴ系の都市ラチカの王ミフタニに討たれる。反乱軍は離散したが、この混乱に乗じて、マザニの大王ナバシ(ナバッシュ)が大船団を率いて進軍を開始する。マザニ人はエン・ダシュトからパンドに進出し、ダロ・ベサゴ侵入を窺っていた大部族である。勇猛なマザニの戦士はアモの中でも怖れられ、四十もの部族を支配下に置いていた。

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