金の斧と銀の斧

こばとのお伽噺① 金の斧と銀の斧

 森の妖精こばとちゃんは新しいねぐらを造るために、小さな鉄の斧で一生懸命に木の枝を切り落としていました。ところが、ぶきっちょなこばとちゃんが「えいや!」と振りかぶった瞬間に、斧が手からすっぽ抜けてしまいました。
「ひゃああ! 落としましたよー!」
 小さな斧は下にある泉にぽちゃんと落ちて沈んでしまいました。
「大変ですよー! 斧がなければ新しいお家が造れませんよー」
 こばとちゃんは小さな羽根をぱたぱたさせて、枝から泉のほとりに降りて行き、呆然と水面を見つめていました。すると驚いたことに水面を泡立てながら、中から美しい妖精さんが現れました。
「わたくしは水の妖精かばねです。あなたが落としたのは、この金の斧ですか? それともこちらの銀の斧ですか?」
 水の妖精さんがそう問うと、
「金の斧に決まってますよー!」
 こばとちゃんは、すかさずそう答えました。
「まあ!」
 こばとちゃんが躊躇なく嘘をついたので、水の妖精さんは仰天します。
「あ! そういえば、そっちの銀の斧も落としたかもしれない。2つとも、こばとのですよー! 返してくださいなー!」
「嘘をついて金の斧を欲しがるばかりか、図々しく銀の斧まで欲しがるとは、なんて欲深な妖精さんなんでしょう! あなたには何もあげません!」
 憤った水の妖精さんは泉の底に潜ってしまいました。
「わーん! ごめんなさいですよー! こばと、もう嘘をつきませんから鉄の斧を返してくださいなー!」
 こばとちゃんは泣き喚いて懇願しますが、水の妖精さんが2度と姿を現すことはありませんでした。<おしまい>

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