未然形:「ない形」と「意志形」

動詞の活用① 未然形

 「未然に防ぐ」という言い回しにあるように、「未然形」とは「まだ実現していない行動」を表す活用法です。何だか不思議なことに、「未然形」には2つの種類があります。

ない形(nai-form)

 1つは語尾に「~ない」と付ける活用法。
 「ない形(nai-form)」として分類されることもあります。

 [例] しない、食べない、買わない、話さない、座らない、踊らない

 基本的には英語の否定形 "do not ~" に近い用法です:

 「こばとは今日は疲れているので原稿は書かない。明日にしようっと」

 しかし必ずしも否定文に用いるとは限りません。

 「早く行かないと間に合わないよ」

という感じで「まだしていないけど、これからしよう」という分類名に最も近い使い方をすることもあります。

意志形(Volitonal)

 2つめは、語尾に「よう」とか「おう」をつける形。
 「意志形(Volitonal)」と分類されることもあります。
 英語の "will ~" と同じような意味をもちます。

 [例] しよう、食べよう、買おう、話そう、座ろう、踊ろう

 約束の時間を過ぎても彼女は来なかった。
「あと10分だけ待とう
 そう自分に何度も言い聞かせながら、すでに2時間が経っていた。

(・・・・・・諦めたほうがいいと思いますけどね。余計なお世話かもしれないけど)

 こばとはとっても食いしん坊なので、外でお食事するときはいつもメニューを見ながら「えーと、これを食べようかな、それともこっちを食べようかな」と迷ってしまいます。

(本当にね。いつも散々迷うから、一緒にいるマリちゃんに「早く決めて!」と怒られちゃうんですよね)
 

どうして未然形は2種類あるの?

 昔はひとつでした。「待たう(matau)」が「待とう(matō)」というように、 au が長母音 ō に変化したのです。しかし発音が変わっても、それまで使われていた書き方は変えずに「待たう」と書いて matō と読んでいました。古語辞典を持っている人は「待つ」を調べてみてください。「タ行四段活用」と表記されているはずです。戦後に仮名遣いと発音を一致させるように改められたのです。
 

言葉の雑学 消えた語形変化

 日本語と比較すると、英語における動詞は時制や人称、受け身によって僅かに変化するぐらいで、バリエーションはさほど多くありません。活用形という概念そのものに馴染みが薄いのです。しかし興味深いことに古い時代の英語は複雑な語形変化を伴っていました。しかし英語はブリテン島という大陸から切り離された場所で特殊な進化をとげたので、その途中で語形変化を完全に失ってしまいました。同じ印欧語族西ゲルマン語に属するドイツ語は現代でも複雑な活用形を保持していますから、英語は「地理的条件や歴史が言語をどれだけ変化させるものなのか」ということを、まざまざと見せてくれる生き証人であるといえます。

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