鬼ヶ島とか行きたくないしねー(村を追い出されました)

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こばとの鬼退治【中編】「鬼ヶ島とか行きたくないしねー」

 「たくさん食べて大きくなったら鬼退治に行く」
と常々言っていたこばとちゃんでしたが、1年たっても、2年たっても、いっこうに大きくなる様子はなく、小さいこばとちゃんのままでした。
「いつになったら鬼退治に行ってくれるかのう?」
 おじいさんがまた遠慮がちに尋ねます。
「そのうち大きくなったらねー♪」
 こばとちゃんはまた適当な言葉を返します。
 しかしこのままでは、暮らし向きは苦しくなるいっぽうです。
 心苦しく思いながらも、おじいさんは村の名主(なぬし)の所へ相談に行きました。この村の名主である「かばね」は女性でありながら賢く村を治めていたので、村人たちから「かばね姫」と呼ばれて慕われていました。

「働かざる者食うべからずです!」
 おじいさんに連れられて家にやってきたかばね姫は、こばとちゃんを叱りつけます。
「だってさー」
 こばとちゃんは言い訳をしようとしますが、
「鬼退治に行くと約束したのでしょう? 一度口にしたことは必ず守りなさい。さあ、今すぐ行きなさい! 鬼を退治するまで戻って来てはなりません!」
 かばね姫はそう言って、こばとちゃんを村から追い出しました。

「とほほ、ですよー。とうとう追い出されてしまいましたよー。困りましたねー。こんなに小さな妖精が鬼なんかに勝てるはずがないですよー。ていうか、鬼ヶ島とか行きたくないしねー。ひどいことになっちゃったな、もう」
 こばとちゃんはぶつぶつ言いながら当てもなく辺りを彷徨っていると、道の向こうから見知らぬ若者が歩いて来ました。
「こっちでいいのか? あー、マジでわかんねー。俺、方向音痴なんだよなー」
 若者は道に迷っているようでした。
「どこへ行くのですかー?」
 こばとちゃんが何気なく尋ねると、
「鬼ヶ島。これから鬼退治に行くんだ」
 若者はそう答えます。
 これはチャンスだ、とこばとちゃんは思いました。
 良く見ると、とても体格が大きくて強そうな若者です。この若者について行けば、首尾よく鬼を退治して鬼の持っている宝物を半分もらえるかもしれません。
「なんと! 実はこばとも鬼退治に向かう途中なのですよー!」
「はあ? おまえみたいに小さいのが? ありえねーだろ」
 若者は疑わしそうに、こばとちゃんの姿をまじまじと見つめます。
「身体は小さくても知恵がありますよー! とにかく一緒に連れて行ってくれるなら道案内してあげますよー」
 こばとちゃんは必死に訴えます。
「ちっ。まあいいだろう。俺は桃太郎ってんだ。よろしくな」
「こばとですよー。仲良くしましょー」
「キビ団子、1つ食うか?」
 桃太郎と名乗る若者は団子を差し出します。
「いただきますよー! お腹が空いて仕方なかったんですよー!」
 こばとちゃんはキビ団子を受け取ってもぐもぐ食べます。
「1つじゃ足りませんよー。もう1つくださいなー」
「 ...... 小さいくせに、よく食うな」
 桃太郎はキビ団子をもう1つ手渡しました。

 ≫ 後編「桃太郎とこばと」
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