現実と同じように、創作の中の登場人物たちもまた何かのきっかけで仲違いすることもあるでしょう。夫婦喧嘩だってしますよね。そうした言い争いがまた思わぬ展開につながっていくということもありそうです。何はともあれ言い争わせるための(?)色々な表現を覚えておきましょう。
【言い争う/口論する】文例集
その昔。太平洋戦争が終わった直後の話なんですけどね。
大阪に住んでいる知人が本当に争ってました。ほら、家が焼けちゃって、塀もなくなっちゃったから、境界がどこにあったのかわからなくなっちゃって。
「ここやろ、ここ。こういうふうに塀が立っとったやないか」
「アホか! こっちや、こっち。ここが境界線」
「何言っとんねん。焼夷弾で頭やられたんとちゃうか?」
「何やと、もういっぱん言うてみい!」
てな感じで掴みあいになりました。こばとの姉が仲裁に入って何とか収めたんですけど、姉は溜息をついて「ほんとにくだらない!」と怒っていました。ご苦労様です。
いえね、奥さん。ここだけの話なんですけどね。
稲見さんとこ、そうとうに揉めたらしいですわよ。
結月さんもこんなときにお嫁に行って大変ねー。
……このぐらいにしとこうっと。こばと、おばちゃんじゃないしー。
ちなみ結月さんは小春ちゃんのお姉さんです。
姉のかばねちゃんは札幌に住んでいますが、年に1度は東京に出てきます。なかなか会えない姉妹ですから最初の3日間ぐらいは和気藹々と過ごすのですが、そのうちに姉の小言が多くなり、それに対してこばとが言い返し、という感じで口論になってしまいますね。去年もこばとが出版する本の内容について大喧嘩してしまいました。たまには滞在中一度も喧嘩せずに終わりたいとは思っているんですけどね。
正一はこめかみに青筋を立てて怒鳴った。
「継がねーよ! 俺はプロサッカー選手になるんだからよ!」
次郎は言い返した。
「なれるわけねーだろ! リフティングだってろくにできねーくせに!」
「これから練習して上手くなるんだよ!」
「どう考えても遅すぎだろ!」
こうして生田目親子は夜明けまで口論していたのである。
生田目正一さんは池袋本町の「生田目電機」を経営する自営業のおじさんです。息子さんの生田目次郎君は都立東池袋高校に通う高校2年生(2016 年 2 月現在)。サッカー部に所属していますが、信じられないくらいサッカーが下手です。それにしても、こんな馬鹿なことを徹夜で口論するなんて本当にどうしようもない親子ですねー。ちなみに次郎君は次男ではなく長男です。お兄さんがいるわけではありません。正一さんは「太郎」という名前がお気に入りだったのですが、次郎君が生まれたときに飼っていた犬の名前が太郎だったのです。なので仕方なく「次郎」という名前にしたそうです。
家事を手伝うとか、手伝わないとか、くだらないことで喧嘩を始めたのです。新婚さんだし、来年は赤ちゃんも生まれるんだから、喧嘩しないで仲良くね。
「口争いをする」というのはあまり使用例がないかもしれませんね。「言い争う」で事足りますからね。でも色々と表現の選択肢をもっておくことは損にはなりませんよ。
「これから喧嘩が始まるかも?」という場面ですね。
現実の喧嘩はよくないですけど、小説だと次の展開を期待してしまいますよね。
ぱわはらですね! 許せませんね!