舌の記憶 姉はプディングを食べて昔を思い出したようです

 姉がひさふみ君に会うために、東京にやって来ましたよ。
 本日午後、こばとは博和さんの運転する車に乗って東京駅に迎えに行ったのです。
 ちなみに姉は飛行機が大嫌いなので、北海道新幹線が開通して以来、新幹線を利用していますよ。

舌の記憶 プディングを食べて昔を思い出したようです

こばと
 姉さん、ちょー久しぶりー♪

氏姓の妖精かばね
 お正月に会ったばかりよ。

こばと
 まあ、そうなんだけどさー♪ 3ヶ月ぶりー♪

博和
 どうも、ご無沙汰してます。

かばね
 博和君、改めておめでとう。

博和
 ありがとうございます。

かばね
 赤ちゃんの世話はちゃんと手伝ってる?

博和
 ははは。まあ、なんとか。
 慣れないながらもオムツ替えたりしてます。

かばね
 あら。偉いわねえ。

博和
 さあ、どうぞ車へ。

かばね
 ありがとう。

 そんなわけで善知鳥家に到着です。
 マリちゃんが胸にひさふみ君を抱いて玄関に出てきました。

真理子
 かばねさん、いらっしゃい!

かばね
 ああ、マリちゃん! 本当にもう何と言っていいか、嬉しくて言葉にならないぐらいよ。

真理子
 ほーら、ひさ君。こばとちゃんのお姉さんだよー。

かばね
 はじめまして、ひさふみ君。
 あらあら。笑ってるわ。ご機嫌なのね。

真理子
 今、おっぱい飲んだとこだから、満腹なのよねー。

かばね
 ふふ。マリちゃんも、すっかりお母さんね。

真理子
 さあさあ。どうぞ。あがってください。

こばと
 口調もおばさんぽくなってきましたねー。

真理子
 なんですって!?

かばね
 余計なこと言わなくていいの。

こばと
 はいはい。

かばね
 返事は1回でよろしい。

こばと
 はーい。

博和
 ははは。相変わらずだなあ。

こばと
 千年間、同じことばかり言い合ってるだよね。
 いやんなっちゃうな、もう。

かばね
 あなたが1つも成長しないからでしょう!

 居間でお茶を飲みながら、色々な話で盛り上がりましたよ。

真理子
 あ、そうだ。
 立派なベビーカー贈っていただいて、ありがとうございます。

かばね
 いえいえ。どういたしまして。

こばと
 すごく高かった?

かばね
 値段のことなんて、どうでもよろしい。

こばと
 だって、気になるしー。

博和
 今どきのベビーカーって、コンパクトに折り畳めたりするんだなあ。

かばね
 私もベビーカーなんて買うの久しぶりだから、昔に比べてずいぶんと機能が向上していて驚いたわ。生活の隅々まで技術は日々進歩してるのねえ。こばと、あなたも少しは見習って進歩しなさいね。

こばと
 どうしてベビーカーと比べられなきゃいけないのー!?

 それからずーっと皆でおしゃべりしてました。おしゃべりって、どうしてこんなに楽しいんでしょうねー。気づくといつの間にか夕食の時間になっていました。

かばね
 博和君は偉いわね。
 ちゃんとお料理してくれるんですもの。

博和
 ははは。料理は好きなんですよ。食べるのが好きだから。

真理子
 それはいいんだけど、博和の作るものっていつも ...... 今日はビーフストロガノフにバターライス添えて、大きなピザまであるし。どんだけ高カロリーなのよ。

博和
 かばねさんが来るから腕によりをかけたんだ。
 ちゃんとサラダだって用意してあるだろ。

真理子
 あ、酢キャベツもちゃんと食べるのよ。

博和
 え? 今日もかい?

真理子
 当然よ。毎日食べないと意味ないもの。

かばね
 酢キャベツ?

真理子
 穀物酢とマスタードに漬けてあるのよ。小皿に入れて、まず先に食べるように言ってあるの。食物繊維でお腹が膨れて食べ過ぎを防ぐし、腸のはたらきも良くなるんだって。

こばと
 マリちゃんの新たなメタボ対策なんだよ。

博和
 大きなビンに大量に作り置きしてあるんだ。
 なんかもうすっかり飽きちゃったよ。

真理子
 健康のためだから。

かばね
 それはいいことね。博和君、ちゃんとお食べなさい。

博和
 とほほ。

こばと
 博和さん、かわいそー。いただきまーす。

博和
 せめてもう少し心を込めて同情してくれないか?

かばね
 あら、良いお味ね、このビーフストロガノフ。
 洋食もこうしてたまに食べると美味しいわね。

真理子
 かばねさん、いつも和食?

かばね
 ほとんど、そうね。
 洋食を食べるのは週1回ぐらいかしら。
 大学の付き合いで外食するときぐらいね。
 やっぱり和食が体に合っているのよ。
 「向こうの世界」でも野菜や果物が食事の中心だったし。

こばと
 私たちは基本的には菜食を好むように創られているんだけど、消化できないものはないし、幼年期を過ぎると味覚を広げることもできるようになっているのです。だから、こばとは何でも美味しくいただいちゃいますよー。ていうか、野菜よりお肉のほうが好きねー!

かばね
 ...... 基本的に備わっているはずの「菜食」はどこに消えちゃったの?
 もしかすると突然変異なのかしら?

こばと
 1羽1羽、丁寧に設計されているのに、突然変異とかあるわけないでしょー!
 無茶苦茶言わないでくださいなー!

かばね
 まあ、確かに「向こうの世界」でも好みは個人差があったわね。
 エリドゥラ姉さんはかなりの偏食だったし。

こばと
 そういえば、姉さん、幕末の頃だったかな?
 異人館に招かれたときにステーキを出されて身体を強張らせていたよね。

かばね
 あなたも本当につまらないこと覚えてるのね!
 初めて獣の肉を口にするのは本当に勇気が要ったわ。
 でも招かれた手前、食べないわけにもいかなくて ......

真理子
 食べたんですか?

かばね
 ええ。目を閉じて思いきってひと口。

真理子
 大丈夫でした?

こばと
 大丈夫なわけないでしょー。
 顔色が真青になってましたよー。
 でも姉さんだけじゃなくて、同席していたお侍さんたちも、同じような表情をしていました。幸い、異人さんも気を回して、すぐに召使にお皿を下げさせて、魚料理に変えてくれましたから事無きを得ましたよ。でも、こばとのステーキまで下げそうになったから、「こばとは美味しく頂いているので、勝手に下げないでくださいなー!」と叫んでしまいましたよ。

かばね
 あなたは、あの頃から無節操に何でも食べていたわね。

こばと
 無節操じゃないもん! 安土桃山時代から異人さんと交流してポルトガル料理とか食べていたから、肉料理にも慣れてたの!

かばね
 でも、デザートに頂いたプディングはとても美味しかったわ。
 口にした途端、懐かしさのようなものが胸の中に広がっていく感じだった。

博和
 懐かしい?

かばね
 九百年たっても舌は覚えていたのよ。
 「ああ、そうよ。昔、姉さんたちとこういうお菓子を食べたことある」と思い出したの。味覚が色々な記憶を一斉に呼び起こしてしまって。思わず涙をこぼしてしまって ......

こばと
 だからねー、また異人さんが驚いてしまって、「これも口に合わなかったのだろうか?」とすごく心配しちゃってねー、こばとが一生懸命に事情を説明したけど、たぶん半分も理解してもらえなかったと思いますよ。

博和
 そりゃそうだよな。いきなり「向こうの世界」がどうとかこうとか言われても、当時の人には理解するのは難しいだろう。

こばと
 だって、パラレルねー♪
 不思議な、パラレルねー♪
 だから、向こうと、こちらでねー♪
 出会って仲良く、こんにちはー ......

真理子
 かばねさん、ワインもう一杯いかが?

かばね
 ありがとう。いただくわ。

こばと
 こばとちゃんダンスを無視しないでくださいなー!
 最近、こんなオチばっかりですよー!

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