桃太郎とこばと(桃から生まれたとか、ありえないみたいなー)

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 ≪ 中編「鬼ヶ島とか行きたくないしねー」

こばとの鬼退治【後編】「桃太郎とこばと」

「えー!? 桃から生まれたー!? ありえなーい!」
 道中で桃太郎さんの生い立ちを聞いたこばとちゃんは、お腹を抱えて笑います。
「うるせー! いいだろ! 別にどっから生まれたってよー!」
「いいですけどー、桃からー? あはははは。鳥もカエルも卵から生まれるしー、こばともちゃんと卵から生まれたのねー。でも桃から生まれたとかー、ありえないみたいなー?」
 こばとちゃんは愉快そうに笑い続けます。
「仕方ねえだろ! 生まれ方なんて自分じゃ選べねーからよー! そうやって村の連中にも散々馬鹿にされてよー。マジやってらんねーって思って、あいつら見返してやるために、鬼を退治してやろうと思って村飛び出して来たんだ。腕っぷしだけは自信あるからよー」
「ご、ごめんなさいですよー。見かけによらず傷つきやすいんですねー。まあ、こばとも村を追い出されたはぐれ者ですから、似たり寄ったりの境遇ですよー」
 こばとちゃんは桃太郎の肩に止まって慰めます。
「そっか。おまえも苦労してんだな。よーし、絶対に鬼のやつをぶっとばして、宝ぶんどって凱旋してやろうぜ!」
「おー! ですよー!」
 こばとちゃんと桃太郎は揃って気勢を上げ、舟に乗って鬼ヶ島へ向けて漕ぎ出します。

 そしてついに鬼ヶ島に上陸しました。
「鬼のやつは、どこにいるんだ」
 桃太郎は辺りを見回します。
「ラスボスは洞窟で待ち構えているに決まっているのねー」
「 ...... なんだよ、ラスボスって」
 それからしばらく歩き回って、怪しい洞窟を発見します。
「きっと、ここですねー!」
 こばとちゃんは息を呑んで奥を窺います。
「よーし。待ってろよ、鬼のやつめ」

「あ? なんだ、てめーはよ?」
 鬼は突然の訪問者を威嚇しました。
「桃太郎ってんだ。おまえを倒しにきてやったぜ」
「ああ!? ざけてんじゃねーぞ」
 鬼は桃太郎の前に顔を突き出します。
「あんだと!? やんのか、こら!?」
 桃太郎も負けじと睨み返します。
「ひゃああ。まずはガンの飛ばしあいからですねー。なんだかヤンキー同士の喧嘩みたいですねー。それにしても鬼も桃太郎さんと同じぐらい強そうですねー。どっちが勝つかわかりませんねー」
「ぼこぼこにしてやっからよ!」
 鬼が拳を繰り出し、それを紙一重で桃太郎が避けます。
 壮絶な殴り合いが始まりました。
「ええと、ええと、こばとはとにかく応援しましょー。桃太郎さん、頑張れですよー! 負けるなですよー!」
 こばとちゃんは特にできることもないので、一生懸命に桃太郎を応援します。
「パンチですよー。そんな大振りしたらダメですよー!」
 鬼も大変強かったのですが、桃太郎のほうが少し強かったので、次第に形勢は桃太郎に傾いてゆきます。
「これでおしまいだ!」
 そしてついに、とどめのストレートパンチで鬼をダウンさせました。
「やりましたねー! こばとの応援のおかげで勝ちましたねー!」
 こばとちゃんは、はしゃいで飛び回ります。
「 ...... おまえは何もしてねーだろ」
 桃太郎はそう言いながら宝を袋に詰め込み始めます。
「わーい、わーい。宝物ですよー! 半分こしましょーねー」
「 ...... ほんっとに図々しいやつだな」

 2人は舟に乗って鬼ヶ島をあとにします。
「この宝を村に持ち帰ったら、連中、腰抜かすぜ」
 桃太郎はそう言いながらも、どこか迷っている様子です。
「桃太郎さんも帰りたくなくなったんですか?」
「あー、まあな。あんな辺鄙な村に戻って、宝に目がくらんだ連中にぺこぺこされながら暮らしても、なんかつまんねーなー、とか思ってよ」
「ですよねー。こばとも村になんて帰りたくないですよー。ねえ、桃太郎さん。一緒にこの宝を持って都に上って商売を始めましょー。もっとビッグになりましょー」
「都か! そうだな! やっぱり男はそういうスケールの大きな夢を追わなきゃダメだな!」
「決まりですねー! これから楽しみねー!」

 こうして桃太郎とこばとちゃんは都に上って行くことになりました。
 そして広い土地を買って、立派なお屋敷を建て、『桃太郎団子』というお店を開きます。お店はとても繁盛し、桃太郎は器量の良い娘さんを娶って、子供もたくさん生まれました。そして子々孫々幸せに暮らしましたとさ。 <おしまい>

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