学校では先生とよびなさい

 「幸恵ちゃんの思い出」シリーズのボツ原稿ですよ~。

学校では先生とよびなさい

 休み時間を終えて次の授業のために教室までの廊下を歩いている途中で、幸恵ちゃんがこばとを待ち構えていました。

幸恵
 こばとちゃん、ひどい。

こばと
 学校では、こばと先生と呼んでくださいなー。
 他の生徒に示しがつきませんからー。

幸恵
 こばとちゃんがあんなこと言うから、佳子ちゃんが皆に「非国民!」て責められたんだよ。佳子ちゃん、泣いちゃったんだから。

こばと
 そ、それは、こばともちょっと言い過ぎたかもしれないけど、とにかく、戦争だっていつまでも続くわけでないし、勝つまでの辛抱ですからー。戦争に勝ってからまた好きなだけ英語を教えてあげますよー。

幸恵
 じゃあ負けたらどうなるの?

こばと
 !!? ま、まけ? な、なんてこと言うんですかー!
 誰かに聞かれたら大変ですよー! 今のは聞かなかったことにしますから、とにかくそこをどいてくださいなー。
 

私たちは生き続けるのです

 政吉君は大声で泣きだしてしまいました。
 そして、こばとも姉に現実を突きつけられたような気がして、泣きたくなってしまいました。帰り道、かつて負けた時の悲惨な記憶が蘇ります。

こばと
 ずっと昔、本能寺の変の後、越前北の庄を秀吉に攻められて、勝家様とお市様が自害されたとき、こばと、頭が真白になったんだ。

かばね
 ...... 辛い記憶ね。でも負けるというのは、そういうことよ。
 戦をすれば必ずどちらかが負ける。

こばと
 お市様とは、あんなに仲が良かったのに、こばとだけお城から逃げ出して生き残ったこと ...... 心の中でずっと自分を責め続けてた。

かばね
 でも、お市様はこばとに生きて欲しいと思って、逃げるように説得してくれたのでしょう?

こばと
 ...... うん。

かばね
 だったら、その貰った命を出来る限り大切にして、このさき何があっても、とにかく生き続けなさい。大切な人の赤子が産まれたら、その子が老いるまで見守りなさい。そしてまた次の世代の人たちと共に生きなさい。これまでそうしてきたように、この先また千年、二千年と生き続ける ...... 私たちにはそれしかできないのだから。

こばと
 ...... うん。そうだね。それしかないんだよね。

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