【言う/話す】登場人物の台詞を補います

 小説で最も多用される表現は登場人物の台詞が入った「  」の後に付される "と言った" に関連する言葉だと思います。
 しかし 言った言った、と繰り返してばかりいては、作者の表現力を疑われてしまいます。作中の状況に応じて使い分けて登場人物の性格や心の状態を補ってみましょう。

思いを打ち明けてみたり、口ごもってみたり……

「ずっと前から君のことが好きだったんだ」
 正太郎は真理子に思いを打ち明けた

「そんなこと急に言われても、わたし・・・・・・」
 真理子は俯いて口ごもった

「はっきりとした返事を聞かせてくれよ」
 正太郎は返事を促した

「ごめんなさい。これからもいいお友達でいましょう」
 真理子は正太郎の目をみつめ、きっぱりと拒絶した

「そうか、仕方ない。君のことはさっぱりと諦めるよ」
 正太郎はそう言い残して立ち去った。

 上の例文があまりに陳腐だと思う人はまともなセンスをお持ちですが、そんなことは今どうでもいいのです。あくまで使い方の例ですから。小説家を目指す皆さんはもっと洗練された文章を書いてくださいな。もし上に書いてあるような内容の作品を新人賞に応募すると、下読みの段階で「ぽいっ」と捨てられますのでご注意くださいな。

刑事さんが声を荒げて詰め寄ります

「お前がやったんだろ! 白状しろ」
 刑事は声を荒げたが、

「俺はやってねーよ」
 とヒロシは言い張った

「じゃあ、現場に落ちていたこのナイフはなんだ! お前の指紋がついていたぞ!」
 刑事が詰め寄ると、

「う、いや、それは・・・・・・」
 途端にヒロシは顔色を変えて言いよどんだ。

 「安っぽい刑事ドラマみたい」と思う人はまっとうな感性をしています。もし上の文章を真似てミステリーや警察小説を書いて新人賞に応募したりすると、下読み担当の人が「俺の時間を無駄にするんじゃねー!」と怒ってゴミ箱に捨ててしまいますので、くれぐれもコピペなんてしないでくださいね。
 まあともかく下に「言う/話す」を使った文例集を載せておくので使ってくださいな。「声を荒げる」などの関連表現は頁の上に貼ってあるリンクによって細分化されています。

【言う/話す】の文例集

<おかしなことばかり>
 小春ちゃんは冗談ばかり言っているように見えますが、本人はいたって真面目に発言しているようです。天然さんなので、自分の発言のおかしさに気づいていないようなのです。

 小夜子さん(小春ちゃんの従姉)が「新聞社には左寄りの人が多いから」と言うと、小春ちゃんは「記者さんて左利きの人ばっかりなのー?」と反応したようです。小春ちゃんから何が返ってくるのかなんて誰にも予想できません。小夜子さんのブログはいつもこんな感じです。興味があったら読んでみてください。

<当たり前のこと言うもんじゃないよ>
 「こばとちゃんてのは、やっぱり言葉から生まれたのかい」
 「そりゃ言うだけ野暮ってもんだよ」

 そうそう、言うだけ野暮・・・・・・
 て、違いますよー! 生き物が言葉から生まれるわけないでしょー!

<そういえば……>
 「確かこばとちゃんは言葉から生まれたとか言っていたような」

 しつこいですね!
 いつ誰がそんなことを言いました!?
 こばとは卵から生まれたの!

<ありのままを言えば……>
 「ではやはり、こばとちゃんは言葉から生まれたのですか」
 「有り体に言えばそうなりますな」

 ・・・・・・もう何もコメントしたくない。

<ありがとね>
 百鳥さんにはいつもお世話になっているので、京都に帰ったときには必ず立ち寄ってお礼を言うようにしています。

 百鳥崇好さんは京都の人形職人さんです。
 ミニチュアサイズのテーブルや棚などを、こばとのために特別にあつらえてくれます。こばとのお部屋は百鳥さんに作ってもらった家具や装飾品がたくさん並んでいます。

<もう1つ幸せを>
 美味しいコーヒーを淹れると幸せな気持ちになります。あとはドゥーブルフロマージュなどがあれば最高なのですが、贅沢を言ったらきりがありませんからね。

 こばとはコーヒー党。マリちゃんは煎茶党で、涼音さんは紅茶党。『あとりえこばと』の面々は好みがばらばらなんですよね。それぞれに淹れ方にこだわりもあるので、わが社にはお茶汲み担当という人は存在せず、各々が自分の飲みたい物を淹れています。アルバイトの木下君にも好みを訊いてみましたが、「別に飲めれば何でもいいっすよ」と返ってきました……。そういえば、毎日違うものを飲んでいるような気がしますね……こばとの(高価な)コーヒー豆を勝手に使ったのはおまえかー!
 ドゥーブルフロマージュというのは北海道のお菓子です。半解凍でいただくと、それこそほっぺたがとろけるような美味しさなのです。

<いわゆる……>
 あそこに飛んでいるのが俗に言うこばとちゃんだよ。

 失礼しちゃいますね!
 "こばと" はそんな俗な名前じゃありません!

<全て頭の中にあります>
 こばとは百人一首を空で言うことができますよ。

 えへへ。自慢です。
 誰ですか? 「年の功だね」なんて言う人は!?

<よりにもよって>
 「言うに事欠いてこばとちゃんをもののけ呼ばわりするなんて、失礼にもほどがあるよ」

 まったくですよ!

<動きが鈍くなります>
 「近頃、体が言うことをきかなくてね」

 年を取ると体に言い聞かせることが難しくなってしまいます。

<英語もドイツ語も話せますけど>
 こばとは英語を話せますが、別に外国人が好きではありません。

 別段ね。「海外に行って外国の人と積極的にコミュニケーションとりたいなー」とか思っているわけじゃないんです。外国語を学ぶのは単に言葉が好きだから。ただそれだけです。明治時代に官費で英国に留学したことがありますが、それ以来外国が嫌いになりました。

<関係ない話をしようと>
 姉は事ある毎にこばとにお説教をします。
 しかもそのお説教はとても長いのです。
「ところで昨日ねー」
話題を転じようとすると、
話をそらさないで!」
と言って余計にたくさんお説教をします。

 ついつい余計なこと言ってお説教を長引かせちゃうんですよね。同じことを千年間も繰り返しているのは、こばとの頭が悪いから……だからそこで納得しないでくださいな。

<盛り上がってますねー>
 高校の同窓会で学生時代の思い出話に花を咲かせました

 「話に花を咲かせる」というのは面白い言い回しですよね。
 こういう慣用句って誰が一番最初に言い出したんでしょうね?

<つい夢中になって/まだ途中だよ>
 スマートフォンって便利ですよね。固定電話しかなかった時代には、大きくて重たい受話器を持ち上げるのもひと苦労で、こばとはほとんど電話を使っていませんでした。でも iPhone なら机の上に置いておけば、そのまま手の平で操作できますから、電話をかけ放題です。iPhone 自体を持ち運ぶのは大変なので、屋根裏部屋(こばとのお家)と職場にそれぞれ1機ずつ置いて使っています。このまえ職場の iPhone に懐かしい友人から電話がかかってきて、ついつい夢中になって話し込んでしまいました。「だよねー、そうだよねー、かもしれないねー」などと長電話していると、マリちゃんに「仕事中に私用電話をするな!」と怒られてしまいました。話の腰を折られてとっても腹が立ちましたけど、「職場にさー、怖いお局様がいるんだよねー。また後でかけ直すねー。ごめんねー」と謝罪して電話を切りました。すると余計にマリちゃんに怒られました。

 「何なの、この下手な作文みたいな文章は……」とか思ったりしてません?
 でもよく考えてみてくださいな。言葉1つから連想して、本当に書いているわけでもない小説の1場面的文章を考えるのって結構大変なんですよ。だからどうしても自分の体験談が多くなってしまうのです。そのあたりはご理解くださいな。

 皆さんも色々な表現を駆使して登場人物をぺらぺら喋らせてくださいね。
 それではまた次回お会いしましょう!

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