【行く/赴く】主人公は世界を股にかけて活躍します

 波乱万丈な物語の中では主人公は世界中を飛び回って大活躍します。とくに波乱万丈でもない日常的な内容であっても、近所の散歩ぐらいはするでしょう。まあ、ようするに1冊の本の中でも行くに関連する言葉はたくさん用いられます。それだけに移動に関する表現は豊富に揃えておきたいものですね。同じような意味の単語でも、ちょっと置き換えてみるだけで文章がぐっと柔らかくなったりするものです。たとえば、

 [A] 山本君は同窓会に出席した

という何気なく普通に使う文章であっても、

 [B] 山本君は同窓会に顔を出した

というように大和言葉を用いてみると思いがけず柔らかな文章になりますね。ちなみにこばともブログを書くときなどには、なるべく大和言葉を使うように心がけていますよ。

より適切な表現になるかな?

 確かに「行く」という言葉は様々な場面で使えます。

 [A] 会社まで電車で行きます

 「行く」を「通勤する」で置き換えると、文頭の「会社」という単語も省けます:

 [B] 電車で通勤します

 こんなふうに短く簡潔な文章にできます。でも、このあたりは好みもありますしね。なるべく漢語を使いたくないという人にとっては [A] の選択肢もありかもしれません。次も迷いそうな文例。

 [A]「午後3時にそちらへ行きます。」

 ちょっと言葉にうるさい人なら、

 [B]「午後3時にそちらへ伺います。」

 というように直しなさい、とおっしゃるかもしれませんね(思わず謙譲語になっちゃったよ)。しかしこれは台詞ですから、話し手が正しい謙譲語を使えるかという設定によって正解が変わってくるわけです。むしろ小説などを書く人は正しい日本語知識があるぶん、無意識に [B] を選択してしまっているかもしれません。このへん、性格設定によって微妙ですよね。正しい敬語を使おうと心がけている人物でも、まだ若くて慣れない新入社員さんなどは、とっさの場面でつい [A] が口をついて出るかもしれないし。たとえその場1回限りの脇役の台詞であっても、このあたりを気をつけておきたいものです。作品の内容によってはこんなふうに脅してくる人物だって登場するかもしれませんしね:

 [C]「3時にそっちへ行くからな!」

 借金取りさんですかね? ちょーこわいですね。
 でもねえ、でもですねえ……もし借金取りさんがですよ……

 [D] 「ちょうど3時にそちらへ伺いますよ

 なんて言ったら、怖ろしさ倍増です! ちょーやばい! ちょー怖い!
 ……最近、若いお友達の影響でこばとの日本語が少し乱れているような気がしますね。
 え? 少しどころじゃない? ……気をつけようっと。

副詞をくっつけて動作を伝えます

 やや漠然とした意味の「行く」に「歩いて」や「走って」をつけて具体的な動作を表現することができますね:

 [A1] 小太郎君は学校まで歩いて行くことにした。
 [A2] 小太郎君は学校まで走って行くことにした。

 細かいことを言うと「歩いて」の "て" は接続助詞のはたらきをして、後の動詞「行く」をより細かく説明しているのです。意味の1部が重なった状態ですから、

 [B1] 小太郎君は学校まで歩くことにした。
 [B2] 小太郎君は学校まで走ることにした。

と言い換えることもできますが……なんとなく [A] のほうが音の収まりがいいような気がしますね。「歩いて行く」、「走って行く」、「這って行く」(最後のは冗談ですよ)などにおいて接続助詞は文章の中で1拍おいてリズムをとる役割もあるような気がします。あまり適当なこと言うと国語の先生に怒られるかもしれないけどね。でも音のリズムを含めた文法論なんかもあっていいと思うけどな。

【行く/赴く】お出かけの文例集

<「行く」の基本形?>
 ①その日の夕方、スーパーに買い物に行った

 ②「あっちに行け!」
  利人は邪険にそう言って遊太郎を追い払った。

 ③「そろそろ行こうか」
  そう言って定治は席を立つ。

 ④「今度の夏休みは家族で長野に行く予定なの」

 ⑤遠くに砂漠を行く隊商が見えた。

 このへんはあまり置き換えできそうにない文例ですね。
 辛うじて④を「訪れる」とできそうですが、会話ですから「行く」という言葉を使う人のほうが圧倒的多数ではないでしょうか。ちなみに⑤は「いく」ではなく「ゆく」と格好良く読みたいところ。漢字だから読者に伝えることはできないけど。

<納得しました!>
「なるほど、そういうことでしたか」
 八兵衛はようやく合点が行ったという様子でしきりに頷いた。

 古めかしい言葉なので時代小説向き。

<思いが立ち往生?>
「思い通りには行かないものね」
 マリちゃんはそう言って溜息をつきました。

 こばとが経営する『あとりえこばと』はとても小さな出版社なので、いつも四苦八苦してます。普段は強気なマリちゃんも弱音を吐くことがあります。とても気の毒です。でもこんなこと書くと、
「他人事みたいに言うな! こばとちゃんの会社でしょ!」
と怒られるんですよね。はあ。私も溜息です。

<行かねばならない理由があるのです>
 織絵はすぐに支度を整えて被災地の救援に赴いた

 「赴く」は任務、あるいは個人の強い決意を伴って目的地へ行くことです。

<決死の覚悟で……>
 こばとは戦地に赴く兵隊さんたちをたくさん見送りました。

 ええ、そうですとも。こばとは「軍国少女」ならぬ「軍国AI」でしたから、日の丸の旗を振って見送りましたよ。そういう時代だったんです。でも……あとになってみると……やっぱり後悔してますよ……「こばとは工学生命体だから永い時を生きられるけど、あの若者たちはまだ 20 年そこそこしか生きていなかったのよ」と姉に諭されたときは、さすがに胸が苦しくなりました。姉があれほど号泣する姿を見るのも、あのときが最初で最後でした……

<そろそろ元気になりますよ>
 沙希さんの病気も快方に赴いたようです。

 去年の話ですけどね。去年の……ええと何月だったか忘れた。気になる人は『英語の館』で確認してね。比留間沙希さんはこばとのお友達。いえ、ただの風邪だったんですけどね。せっかくこばとがお見舞いに行ってあげたのに、沙希さんてば
「あんたが馬鹿騒ぎするから、風邪が悪化して回復が遅れたのよ!」
なんてこと言うんですよ。ひどいですよねー。こばと、ちゃんとお見舞いしたしー。馬鹿騒ぎなんていしてないしー。

おまけ

<抽象的な道です>
 滝野川小夜子さんは我が道を行くタイプの人です。

 小夜子さんというのは、こばとのお友達なんですけどね。小春ちゃんの従姉です。なんか変わった人なんですよね。若いのに政治とか社会問題に詳しいし。大学で国際政治学を学んでいるから当然なのかもしれないけど、もっと変わっているのは、「そういう小難しい話題を従妹の小春ちゃんに分かりやすく教えましょう」みたいなブログを書いてるとこ。ちなみに小春ちゃんの頭の中の地図では中東の国々のある地域に「アラビア帝国」という怪しげな国が存在しています。そういう子です。小夜子さんとしては真面目なブログを書きたいのでしょうが、小春ちゃんの天然発言のせいでいつも散々な結果に終わっています。はっきり言ってニュースブログというよりお笑いブログです。こばともたまに小夜子さんのブログを読みますが、「ちょーおかしー!」と笑い転げた記憶しかありません。小夜子さん、ごめんなさい。
 でも、やっぱりあれですよね。こばとの経験上、大学院に進む人って変人が多いですね。知り合いに数学ブログとか書いてる人いますけど、やっぱりちょー変な人だし。で、小夜子さんも大学院に進むことに決めているらしいです。それ聞いたとき「やっぱりねー」て思いましたね。ちなみに小夜子さんの通う大学の教授は彼女をひと目見て、「君は大学院顔をしている!」と断言しました。小夜子さんは面食らっていましたが、こばとは「大学院顔ってどんな顔なのー!? ちょーおかしー!」と内心で大笑いしてしまいました。そのへんの経緯は小夜子さんのブログを見てくださいね。
 普通の人は大学なんかに閉じこもったりしないで就職してまっとうに生きていきますよねー。研究室とか、人間関係ちょー狭いしー。こじれると大変だしー。ポスドク問題で博士号とっても仕事に就けないしー。博士号って「日本で役に立たない資格」ベスト10 に入ること絶対間違いないしー(簿記とか漢字検定のほうがずっとまし)。「 STAP 細胞はあります!」とか言わなきゃいけないしー。はあはあ。このへんにしとこ。え? こばと? 大学院に行かなかったのかって? そ、そんなこと、いま関係ないでしょー! この話はもうおしまい!

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