都市制圧型への特化、開発可能な原始の惑星

 [SF設定] ハールのヴァルム・アモ侵入③

 マザニとの戦争はシスタリに莫大な恩恵をもたらしたが、ササリにとってもその経済効果は大きかった。新しい交易路に沿った諸星系に定住したササリ人も多く、スリトヒヤ、ハストニなど近代においても住民がササリ系であることがはっきりと分かる都市がある。特に後の時代までササリの歴史に影響を及ぼしたのが大氏族エルマである。彼女たちはシスタリのような隊商的性質を持つようになり、グブナ・バリコおよび後述のペシュピス・バリコに同族からなる都市のネットワークを形成する。それはやがてエン・シュモルへと繋がってゆく。意外と知られていないことだが、エルマとは大陸北東部に住む人々だけを指すのではない。アモを縦横断するように張り巡らされた都市にエルマ族が住んでいる。ハーリの血統に属さず、異邦人のような習慣をもつ彼女たちを神秘の民であるとか、謎の集団であるという声も聞くが、歴史を丁寧に辿って行けば、彼女たちが間違いなく我々の同胞であることがわかる。かつて地理的に別れた集団が再び我々と合流したのだといえる。
 

都市制圧型への特化

 ここでいよいよハーリの名が登場する。
 カルベサ戦争以前、わずか四隻の中型船で構成されるハーリは、定住地を持たず、船の中で世代を重ねる典型的な「氏族」であった。貿易よりも戦場で活躍することの多い武装集団であった。特徴的なのは、ハーリが重装歩兵部隊、すなわち「都市制圧型」戦力に特化していたことだ。
「ササリの戦士たちは皆、両手に十本ずつの指を持つ奇妙な鎧を着ていた。その両足は上半身に比べて異様に太く、極端なまでの前傾姿勢を支えている。フヴァロの部族と見紛うが、あの中身は間違いなく忌まわしきササリ人である。フヴァロの者どもは(全くお似合いの行為であるが)ササリと取引をした。部族の誇りを(そんなものが元々あればの話だが)売り渡しているのだ」
 アモの部族から高度な陸戦技術を学び、最新の重鎧を購入していたこの「戦闘氏族」は、「民族の防衛」に積極的に携わり、カルベサ戦争後にはサルグの「軌道守護」の役職を担うことになる。
 

開発可能な原始の惑星

 アルメキラ系にはSクラスの惑星として開発可能な惑星が二つあった。一つはメルードラ。恒星からほどよい距離にあるが、質量が小さく、仮想質量(仮想重力)を形成する必要がある。もう一つはアムーケル。標準惑星質量をもち、大量のH2Oの氷が惑星表面に蓄えられているが、恒星から遠く、人工の太陽(重力式核融合装置)を建設する必要がある。ササリが選択したのは後者であった。
 アムーケルは原始の惑星であったが、無人の惑星ではなかった。アムーケルの古代名はアモケール、すなわち「アモの果て」という意味を持ち、紛れもなくヴァルム・アモの一部であることを示唆している。惑星の北半球を中心とする地域と衛星ペシ、アプラには、遥か以前にアモとその周辺から来た四十以上の部族が割拠しており、「王なき状態」にあったが、有力な三部族に抑えられ、幾らかの小競り合いは生じたものの、かろうじて均衡状態を保っていた。そして南半球には、ササリとは異なるもう一つの渡来集団が住み着いていた。メオーテ系のハニシェト人である。この時代、帝政タニシェトは近隣に類を見ないほどの強大な国家であり、潤沢な資源を背景にアムーケルに大量の移民船団を送り、植民計画を推進していた。

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